組織の型とモラル(士気)

良いリーダーの育て方(東洋編)

一時孫子兵法がビジネスマンの間でたしなみとしてよく読まれ、解説書が出た時期があった。また、近年では、戦国武将を通してリーダーの在り方を学ぼうとする人が増えている。『真田太平記』などが大人気だ。

東洋で有名なリーダーというのは多くいるが、伝記や小説で作られた人格であることもあり、実際の姿がなかなか見えてこない。逆に言うと、リーダーはかくあるべきという姿が結実したのが、物語だということになる。人格が作られてしまった典型例は、『三国志』の蜀の劉備と諸葛亮である。明らかに不利な形勢から戦闘をひっくり返す神がかり的な戦術は読者を湧き立たせるが、正史ではもう少し地味な二人だ。こういった悲劇は義経と弁慶にも見られる。

伝記では悪玉として見られるのが劉備の敵、魏の曹操である。傀儡の行程を操り、徐州で虐殺を行い、常時劉備を追い掛け回すちびの丞相として描かれている彼だが、実際は従兄弟である夏候惇をはじめ軍師の郭嘉など優秀な人材に囲まれ、本人も『短歌行』を書くなど詩人としての才に恵まれていた。

彼の詩には若い学士に期待し、いい人材を求める気概が描かれ、人口に膾炙している。女癖が少々悪いのと、後継をきちんと決めなかったのが難点であり、政権簒奪を狙う司馬氏に付け入る隙を与えてしまったが、教養があり、整然とした理の持ち主であった。

カリスマ性が高く、落馬した彼に自分の馬を差し出した曹洪など、忠臣が多いのも特徴だ。名将、名軍師は戦うときに辛勝、幸勝、何とか勝った、運よく勝てたというのがないと言われ、典型例は武田信玄であるが、曹操もそのタイプであった。